振り込め詐欺について

2017/07/21

振り込め詐欺にひっかかり送金したがお金を取り戻せないか

　Aさんは３年前に夫を亡くし、一人暮らしで７０歳になる。先日東京にいる娘から「ブランド品を買いすぎてしまいクレジット代金が引き落とせないので、つい会社のお金を使い込んでしまった。

今日中に７０万円会社に振り込まないと逮捕されてしまう」と電話があり、すぐ銀行から７０万円を振り込んだ。

ところがその後、娘に電話してみると、そんな電話はしていないとのことで、騙されたことがわかった。送金したお金は取り戻せないか。

無くならない振り込め詐欺

「振り込め詐欺」には

○「オレオレ詐欺」
親族や警察官、弁護士、保険会社の社員などになりすまして、交通事故などの示談金名目で口座にお金を振り込ませる

○「架空請求」
利用してもいないアダルトサイトや出会い系サイトの利用料金などを請求する

○「融資保証金詐欺」
実際には融資するつもりもないのに、多重債務者の窮状につけ込んで融資の見返りとして保証金を騙しとる

○「還付金等詐欺」
税務署の職員になりすまして、税金の還付等に必要な手続きと装って、ATMを操作させて口座に送金させて騙しとる

などある。

「振り込め詐欺」で使われている口座は、犯人が不正で入手した他人名義の口座である場合がほとんどであるため、口座名義から犯人を特定すること自体が難しく、また、犯人がどこの誰かわかったとしても、他人名義の口座を使用しているので、直ちにその預金口座を裁判所の手続きにより差し押さえることも難しい。
そのため、弁護士に依頼した被害金の返還請求のため手続きをとり、犯人に対し支払いを命じる判決をもらったとしても、その頃には犯人は振り込ませた口座からお金を引き出して、逃げてしまうことが多く、被害回復は困難だった。

振り込め詐欺被害者救済法

このような問題への対応として平成２０年６月に「犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払い等に関する法律」（いわゆる振り込め詐欺被害者救済法）が施行された。

この法律では、振り込め詐欺等の犯罪利用の疑いがあると認知したときは、金融機関はその口座を凍結できるとされている。その上で金融機関が預金保険機構に対し失権のための公告をしてから６０日を下らない期間内に権利行使の届出がなければ、その預金は失権して被害者に分配されることになっている。その場合、預金保険機構は分配金支払いのための公告を実施し、被害者から支払い請求を受け付けた上、受け付けた被害額の総額に応じて按分して支払を行うことになる。

したがって、設問のような被害に遭ったことに気づいた場合は、速やかに警察に通報するとともに、振込先の金融機関にもその旨を通知して口座の凍結を求めた上、預金保険機構の公告（インターネット上で観覧できる）がなされた場合には、支払い請求をすることで被害回復を受けることも可能になった。

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